輪廻を駆ける(23:喫茶店)

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23:喫茶店

「ご先祖様、天に返す前に戻すってのはどーゆーことですか?」勝輝は仙人に尋ねた。

「魂を肉体に戻して地上の生活を再開できるように復活させてやることじゃよ。魂を肉体に戻すんじゃが、肉体のほうのダメージが大きすぎると復活させてやれない。そしてあまりにも急すぎると天にも返せない。そうした行き場を失った人間は彷徨うことになってしまう」そう説明されても勝輝はもう戻れない。

なぜならトラックに挟まれた自分の肉体は明らかにダメージが大きく復活できる肉体ではなかった。あの身体が、もう一度動くことなんてあり得ない。

「お前達は本当に運が悪すぎる。本来死ぬべきではないハズの人間なのに、急に死なれてしまっては迎えにくることもできん!」勝輝もジーもバイク事故で急に亡くなってしまったのだから仕方がない。

「親父がよく言ってたんだけど、ジーちゃんもバイク事故で亡くなっちゃったんだよね?」「あぁ、そうだよ。俺の場合はバイクで崖から転落。崖下にあった町工場にバイクごと転落しちゃって火災発生ー、ドッカーン!大炎上、メラメラー!!バイクも俺も真っ黒黒の消し炭状態になっちまったのよー」なかなかに壮絶な死に方に勝輝は慰めの言葉も思い浮かばなかった。

「結局ジーちゃんと俺は肉体には戻れないから彷徨いルートだったんだね」トホホというがっかりめいたため息が出た。「それならいっそ天に連れてってくれればいいのなー」それを聞いて仙人は眉をひそめた。

「じゃから、それは前にも説明したとおり、迎えに行く人が何人もいて順番に連れて行ってるんじゃ。お前達のように順番関係なく急に死なれるのが1番乱れを生んで迷惑なんじゃ。」

仙人は続けた。「だいたいは親族か縁のある者が迎えに行って、すんなりと天に行くことになっとる!」勝輝とジーは仙人の話を聞き、なるほどと納得して色々と複雑なルールがありそうだということも理解しつつあった。

「俺が旅をしていても彷徨ってる人ってホント偶然にしか出会わない。だから、特定の人を見つけ出すなんて言い出したら不可能に近いレベルで難しかっただろーな」「そういうことじゃ。勝輝が勝治とこうして出会わず、もしもあてもなく彷徨ってしまったら、探し出すことは非常に難しかったじゃろう」「そうかもね。たぶん俺バイクで出かけてたと思うよ。ははは」

古びたスピーカーから小さなジャズが流れ、カウンターの奥ではマスターがカップを磨いていた。

仙人は温かいコーヒーを一口飲んだ。そしてふぅと一息ついた。勝輝とジーは同じタイミングでコーヒーに砂糖とミルクを入れると、スプーンでクルクルと混ぜ始めた。2人の動きは歯車のように連動しているように見えた。「まったく瓜二つじゃな」対面で見ていた仙人は問題児2人を見てやれやれという気分だった。

「勝輝が無事に見つかったんじゃ、もう1つの用事のほうを済ませに行くからお前達もついてきなさい」3人は再びバイクに乗って喫茶店をあとにした。

完結しています。全26章あります。

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