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命懸けのサッカー観戦(12:やりなおし)

「母さん、サッカーのことは今は教えないで」「当たり前じゃない」「何をヒソヒソやってるんだよ。俺は帰るぞ」「無理だよ。親父は試合の前に救急車で運ばれて一命を取り留めたんだよ。家に帰るなんて無理さ。このまましばらく大人しく入院だよ」
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命懸けのサッカー観戦(11:病院)

「親父!親父っ!」正巳の声だ。「母さんすぐ来て! 親父が! 親父が起きたよ!!」なんだ…。五月蝿い。正巳の声か?「あなた…」うるせーな、何泣いてんだよ。正巳、大きな声出すな。頭に響く。なんだ、ここは…。俺は何してる?
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命懸けのサッカー観戦(10:降格)

終わった。負けた。横浜が負けた。J2に降格…。嘘だろ、J2に降格なんて。嘘だろ、嘘だよなぁ。
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命懸けのサッカー観戦(9:試合の結果)

わっと湧き上がった歓声。悲鳴まじりの、絶望の歓声。谷本のシュートがまさか外れるなんて。ここまでお互い得点なし、ロスタイム最後のシュートだと思っていた。だが、笛が鳴らない。
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命懸けのサッカー観戦(8:谷本選手)

俺は後半が始まるまでの間、呼吸を整えるんだ。ここでも飲み食いはしない。前半の緊張をいい具合に後半も継続しなくちゃな。油断した瞬間スパッとやられちまうからな。
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命懸けのサッカー観戦(7:せめぎ合い)

いつもの試合前の意味わかんねーパフォーマンス。俺は試合に集中したいからダンスとかそんなのはいらねーんだ、精神を集中させろよ。選手紹介ももうわかってるからすっ飛ばしていいんだ。キックオフまでの余計なエンタメはノイズでしかない。
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命懸けのサッカー観戦(6:救命救急)

ゲート広場の人だかりは、救急隊員の慌ただしい様子で騒然となっていた。スタジアムに向かう男性が突然倒れたためだ。「石橋さん!意識なし、反応ありません。呼吸、浅い。毎分20くらいです。脈、触れにくいです」
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命懸けのサッカー観戦(5:ビール)

スタジアムの中のいつもの席。ここに来るとなんとも言えない気分になるよな。俺はいつもこの場所で横浜が勝つことだけを信じて、試合を見守っている。俺がスタジアムに来ないと負けるんだよ、横浜ってチームは。いつでも俺が直接応援しなけりゃエールが届かない。
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命懸けのサッカー観戦(4:負けられない理由)

横浜のユニフォームは海の色、ブルーだ。俺は青が好きだ。子供の頃からずっと、青が好きなんだ。車も青。バイクも青。何か買うなら青しか買わない。
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命懸けのサッカー観戦(3:入場ゲート)

合までの時間調整は、駅ビルにあるカフェで静かにコーヒーを飲みながら小説を読むことだ。俺は試合観戦に余計な荷物を持ち込まない。いつも食事を済ませ、喫煙も済ませ、コンディションも完璧に整えている。唯一持ってきているのが、ポケットに収まるサイズの文庫本だ。
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