輪廻を駆ける(17:祖父勝男)

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17:祖父勝男

勝輝の両親、勝彦と君子は病院にいた。

「勝彦さん、勝男さんもそろそろなのかな?」「そうだな…。そろそろ覚悟しておかないとな」勝輝の祖父の勝男の様子を病院へ見にきたのである。勝男は近頃ではほとんど眠っていることが多く、意識もほとんどない様子で勝彦が呼びかけてもあまり返事を返すことはなかった。

父はもう先は長くない。

そう思うと同時に、やはり息子、勝輝のことが頭をよぎってしまう。「まさか勝輝のほうが先に逝ってしまうなんてな…」

「勝彦さん、私も何度もそう思ったわ。今でも信じられない。でも、仕方ないことだって自分に言い聞かせてるの。何を言っても悔しいだけで何も変わらないもの。相手の人も亡くなってるんだから憎む相手もいない」相手のトラック運転手は心筋梗塞だったらしい。

運転中、突っ伏してしまいそのまま事故を起こしてしまった。運転中すでに死んでしまったのかもしれない。いずれにせよ、事故とは加害者も被害者も望んでなんていない。

運命の歯車みたいなもの。事故はマイナスの条件が重なりあってしまった最悪の状態の時に発生するものである。

「オヤジは大往生だな。勝輝にも見習って欲しいもんだ。俺はあいつがバイクいじりに夢中になっているときに何度も注意したんだ。でも好きや好奇心は何を言っても止められないってことなんだよな」今にも息を引き取りそうな眠った父親を見ながら亡き息子のことを思い出していた。

「止められるワケないじゃない。あの子ったらワケのわからない鉄の塊みたいな部品を私に見せながら〝やっと手に入ったよ、これで完成なんだ〟って言ってご飯も食べずにガチャガチャやってるのよ。あんなに嬉しそうにしている子に〝バイクはやめなさい〟なんて言えないわよ。きっと今頃天国でガチャガチャやってるに違いないわ。」

目にはうっすらと涙を滲ませながら君子は言った。悲しんだり嘆いたりしないよう努めている様子が伝わる。家に帰れば当たり前のように勝輝がいるかのように、日常の会話を続けた。

深い眠りに落ちている勝男のいる介護医療病院は介護と医療の両方を受けながら、終の住処として暮らせる場所だ。病院のような管理体制に老人ホームのような生活環境が整った場所で、簡単に言えば、最期まで過ごせる場所なのである。

勝彦と君子は毎週のように勝男に会いにきていたが、それもあと何回かで終わることを感じ取っていた。

完結しています。全26章あります。

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