輪廻を駆ける(2:勝輝の父と母)

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2:勝輝の父と母

勝輝の父・勝彦は50過ぎ。

バイクに夢中な息子を快く思っておらず、『バイクはやめろ』『じいさんもバイク事故で死んだ』と何度も口うるさく注意していた。

最近はほとんど会話もしていない。

ソワソワとブレーキパーツの入荷を待ちどおしく思っている勝輝とは対照的に、勝彦は部品だらけでごちゃごちゃになっているガレージにうんざりとしていた。

「おい、親父。俺の大事なパーツを乱暴にするなよ!」

そんな勝輝の声にぴくりとも耳を傾けず勝彦は部品の山を雑にまとめていた。

そしてため息をついて無言のまま出て行ってしまった。

勝輝がバイクを置いているのは母屋とプレハブ小屋の間にある庭の一角、ガレージだ。

桐生家の母屋は勝彦の代で建て替えたが、祖父、そのまた祖父の代からずっとこの場所に住んでいる、先祖代々の土地だ。

勝彦も祖父勝男もバイクなんて一切いじらない。

勝輝の曾祖父がバイク事故で亡くなったことが原因なのだろう。

勝輝は迷惑に思った。曾祖父がバイク事故で亡くなってしまったのは勝輝には関係のないことだ。

しかし、ガレージはバイク好きの曾祖父が仕立てた名残がある。

勝輝はその点だけは曾祖父に感謝している。

ガレージには誰がどう見ても「これどうするの?」と聞きたくなるような部品の山。

そして今にも動き出しそうなやっとの思いで作り上げた1台。それと移動用に原付がある。

勝輝は電車に乗って学校に通うのが嫌になったので原付を仕立てた。

これも不動品を修理して乗れるようにしたものだった。とは言ってもバイクに夢中で学校をサボることもしばしばだった。

勝輝が今朝から慌ただしいのは注文したブレーキパーツが届いているか確認しに行くからだった。

勝輝はプレハブ小屋の冷蔵庫に入っていたカステラと牛乳でほんの1分で済ます朝食を終えると母屋のリビングを外から覗いた。

母、君子が誰かと電話で話している。

何か立て込んだ様子だが、急いでいた勝輝は君子には声をかけず、夜になったら声をかけようと思った。

「ヘルメットだけはしっかりかぶってよ!」と、口酸っぱく言う君子の言いつけを守ってフルフェイスのヘルメットを被ると、原付で足早にパーツショップへ向かった。

組み上げたバイクに合わせてヘルメットだけはお金をかけて買った。

だから原付に乗るときでもフルフェイスを使っているのだ。

完結しています。全26章あります。

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