輪廻を駆ける(14:ゴールデンレトリバー)

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14:ゴールデンレトリバー

「ねぇジーちゃん、話しができるってそんなに珍しいの?」

「もの凄く珍しいよ。今までも何人か話ができる人はいたけどね」

「それって他にももっと幽霊はいるってことなの?」

「珍しいが、いることはいる。勝輝は俺達みたいに死んでしまった人のことを幽霊だと思っているみたいだけど、正直俺にも幽霊なのか何なのかはよくわからん。俺は俺だし、生きてるときと今と中身は何も変わらん!」

「そうだね、俺も自分が死んだってことが信じられないくらいに普通だよ。普通すぎる」

SAの周辺を何気なしに歩いていた2人はドッグランの前に立っていた。

「さっきジーちゃんに教えてもらってからは、普通に他の人や車やバイクが見えているよ。ここに来るまでにトンビみたいな大きな鳥がアクアラインの上を横切って行くのが見えたんだ。今も楽しく遊んでいる犬が見えている。声も聞こえる」

「そうそう、全然普通なんだよな!しかも体調もよくて常に元気なんだわっ、はははっ!」

2人は確かに体調も良くて元気だった。事故を起こした後だというのに骨折もなければ打撲も捻挫も何もない。痛い箇所は一つもないのだ。

「ジーちゃんが今まで話せた人ってどんな人だったの?」

「死んじゃった人とか〝成仏しなさいオバサン〟とか…」

「成仏しなさいオバサンってなに?」

「成仏しなさいオバサンはその言葉の通り!〝成仏しなさい〟って普通に話しかけてくんのよ。ははっ!最初っから見えちゃってるパターンが多くって、そういう人達とは会話したことがあるぞ」

成仏しなさいオバサンか…。勝輝はちょっと面倒くさそうだなと思ってあたりをキョロキョロしたがこの場所にはそんな人はいなさそうだった。

ドッグランの柵越しに犬を見ながら話していた二人の元に大きな犬がやってきた。「この子はゴールデンレトリバーかな」勝輝はジーに犬種を伝えた。

「へぇ、お前ゴールデンレトリバーなのかぁ、かわいいなぁ。コイツ見えてるなー、俺たちのこと」

ゴールデンレトリバーはジーの目をじっと見つめた後、ワンワンと吠え出した。

「大きい声だね。吠えたら他の人来ちゃうかな?マズくない?」

勝輝は人が来るのを警戒した。

犬は前足を柵にかけて二本足で立った。ハァハァとした息づかいでジーに顔を近づけてニコニコしていた。

「犬が吠えてるくらいなら大丈夫さ。うはぁ、かわいいヤツだなぁ」

ジーはそう言って犬の頭や顔をわしゃわしゃと撫でるとそれに答えて犬はいっそう尻尾を振って喜んだ。

ジーが犬の首筋をわしゃわしゃと撫でると綺麗なゴールドの毛が宙を舞った。

「犬は人間よりも俺たちの認識率が高いと思うよ、すぐに気づかれちゃう」

そういえばウチの犬も時々空中を見つめたり、何もないところに吠えたりしてるなぁ。それってやっぱり何か見えてたってことなのかも。勝輝は自分の家で一緒に暮らす愛犬のことを思い出していた。

ジーはひとしきり犬を撫で終えると挨拶をした。

「またなっ」犬は一言だけ返事を返した。「ワン!」

確かに認識率が高そうだ。コッチが見えていて、言葉も理解していて、返事も返してくる。

挨拶を終えた犬は全身を使ってフルスロットルのバイクのような猛スピードで飼い主の元へ走り去っていった。

完結しています。全26章あります。

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