11:風を切る2台のバイク
「ジーちゃん、俺、このバイクが組み上がったら本当は友達と一緒にツーリングに行きたかったんだ」「ほーん、そんでカツキが行きたかった場所ってどこなのよ?」ジーは優しい口調で勝輝の行きたい場所を聞いた。
「海が見たかった。千葉県に渡るときにアクアラインってあるの知ってる?」「ああ、知ってるよ。あのでっかい橋のことだろ?」「そうそう、そこ!」「じゃ、行ってみようぜ」ジーはバイクに跨るとエンジンをかけた。お前もエンジンをかけろよと言わんばかりにバイクに顎を向けた。
「まだ慣らし運転なんだから慎重に行かせてよ。不具合が出て転んだりしたら大変だ」勝輝は組み上げたバイクに自信があったが寄せ集めのパーツがいつ不具合を出すかわからず不安を感じていた。「大丈夫だよ。何とかなるさ」ジーは勝輝を諭すとアクアラインを目指してバイクを走らせた。
勝輝も何も迷うことなくそれに続いた。ジーの後ろを走行しながら勝輝は色々な考えに思いを巡らせた。
死んでしまった自分。同じ境遇のジー。
これから2人はどうなるのか。なんで見ず知らずの男と急にツーリングをしているのか。ただ、この人は悪い人じゃないという安心感があった。
2人のバイクは大きな音を立てながら風を切って進んでいった。
完結しています。全26章あります。
- 輪廻を駆ける(1:慌ただしい勝輝の朝)
- 輪廻を駆ける(2:勝輝の父と母)
- 輪廻を駆ける(3:パーツショップ)
- 輪廻を駆ける(4:悠真がいたコンビニ)
- 輪廻を駆ける(5:通夜)
- 輪廻を駆ける(6:完成したバイク)
- 輪廻を駆ける(7:二度目の原付)
- 輪廻を駆ける(8:衝突)
- 輪廻を駆ける(9:確信)
- 輪廻を駆ける(10:幽霊という存在)
- 輪廻を駆ける(11:風を切る2台のバイク)
- 輪廻を駆ける(12:海ホタルのカレー)
- 輪廻を駆ける(13:続行)
- 輪廻を駆ける(14:ゴールデンレトリバー)
- 輪廻を駆ける(15:アウトドア好き)
- 輪廻を駆ける(16:あの世への送り方)
- 輪廻を駆ける(17:祖父勝男)
- 輪廻を駆ける(18:ジーの朝食)
- 輪廻を駆ける(19:友達)
- 輪廻を駆ける(20:悠真の家族)
- 輪廻を駆ける(21:鹿公園)
- 輪廻を駆ける(22:仙人)
- 輪廻を駆ける(23:喫茶店)
- 輪廻を駆ける(24:お迎え組)
- 輪廻を駆ける(25:勝輝の選択)
- 輪廻を駆ける(26:エピローグ)
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