企業は社員の給料を決めるときに様々な要因を元に決定しています。
年功序列型とか成果主義型とか、色々な評価基準があります。
今回の記事では「中途半端な年功序列制度」が会社規模で負の人材を作り出す闇について触れていきたいと思います。
あなたの企業と比較して参考にしてみて下さい。
年功序列のよい所
帰属意識が高く連帯感が強い
年功序列とは勤続年数が長い人ほど給料が高くなる制度のことです。
昔からいる人は給料が高いということですね。
伝統的な賃金体制で、今でも年功序列型の賃金制度の企業はたくさん存在しています。
年功序列型では長く勤めれば長く務めるほど年々給料が上がっていきますから、会社に長期勤務する人が増えます。
会社への定着率が向上していき、長い間一緒に働くことで絆や連帯感も強くなります。
若手の育成がしやすい
経験豊富な先輩従業員が多いのも特徴の一つで、ベテラン社員が若手社員の育成を行うことが多いです。
毎年入ってくる若手に対して、先輩社員と同じように教育していくシステムが完成されていることも多いです。
そのため、若手の育成がしやすい環境であり、お手本となる業務が整っていると言えるでしょう。
評価と役職がわかりやすい
年功序列型では若手がいきなり出世することはなく、何年も勤続を経験した者が出世していきます。
そのため、年齢が上の人のほうが役職も上であることが多く、人材評価をするうえでも勤続何年経過したかが大きなポイントとなります。
出世したい人にとっては、長く勤続していれば出世のチャンスもあるので、わかりやすい評価制度になっています。
年功序列の悪いところ
高齢化に偏りやすい
社員の帰属意識が高いことがメリットなのですが、その分会社全体の高齢化がデメリットにもなります。
世代を意識して採用を行わないと、平均年齢はあがる一方です。
平均年齢が高くなればそれだけ賃金負担も多くなるため、若手採用をしない場合は単純に業績を伸ばしていかなければならないのでプレッシャーが重くなります。
大物ルーキーの芽をつぶす
年功序列型では教育方法や昇進はある程度決められたレールに沿った形をとります。
したがって、大きな成果を出して「のし上がりたいタイプの大物ルーキー」にとっては最悪の環境といえるでしょう。
若いうちは成果を出しても評価されにくく、仕事内容と自分の評価に不公平さを感じてしまうこともあります。
大物ルーキーほど、この事実に気が付くのも早いため、将来有望な若者は年功序列を待たずして離職してしまう可能性が高いです。
モチベーションの低下
成果に見合った十分な評価が与えられないため、仕事に対するモチベーションを維持するのが難しいです。
チャレンジ精神や自己成長意識の高い人でも年功序列の中に浸かってしまうと、「無駄な労力」を避ける傾向があり、生産性が低下します。
年功序列が生み出す闇
年功序列型は業務の内容がこの先何年もかわらないプロセスである企業にとってはとても良い制度であるとも言えます。
しかし、多くの企業では年功序列によって生む出された負の財産を抱え込んでいます。
負の財産とは会社にとって何も貢献していない人のことです。
給料泥棒と表現する人もいますよね。
あなたの会社にも必ず存在しているであろう、給料泥棒。
年功序列はそんな闇を産み出していて、周囲の人達が気が付いていたとしても改善することはできません。
それでは、安部さんの事例について、ご紹介したいと思います。
安部さんのソリティア御殿
部下30名を仕切る部長の安部さん。
安部さんは50歳、会社の立ち上げ当初からのメンバーで、社長と同期です。
安部さんは年功序列の例に則って出世し、50歳で部長を務めているエンジニアです。
当時10名足らずだった会社は20年の間に150名以上の社員を抱える企業へと発展してきました。
安部さんは有能な部下に囲まれ、機械エンジニアとしての業務全体を束ねています。
安部さんは社長とも仲がよいため、部下には優秀な人材をアサインされていました。
会社設立から20年、業績が安定していた機械エンジニア部門でした。
しかし、ものづくり、設計、開発、品質管理、などなど、近年の機会部門もめまぐるしく発展をしていく中で、近年は安定しているとは言えない状況でした。
安部さんの会社もいよいよ変革のときが迫っていました。
社長はこの変革の予兆をいち早く察知していて、新しい分野の機械エンジニアの中途採用を積極的に行っていました。
そのことも知らず、安部さんは絶対の年功序列の安心感に甘んじていました。
安部さんは機械エンジニアを束ねていると威厳をひけらかしていましたが、実際の業務としては無能な人物でした。
部下の中には「社長に見捨てられた人」として哀れむ人さえいます。
安部さんは会社につくと毎日のように「ソリティア」をして過ごしました。
機械エンジニア部門の売り上げやお金の管理、人材の教育、設備やメンテナンス、いっさいがっさいを優秀な部下達に任せきりの丸投げで、自分はフロア中央の席にドカっと座って威張っているだけでした。
「俺と社長は設立当時からの大親友だ!!」これが安部さんの口癖でした。
そんな安部さんは自分が目を掛けている部下を集めた引っ越しパーティーのことで頭がいっぱいでした。
安部さんは会社近くのアパートから新居へと引っ越しをしたばかりです。
念願叶って一軒家を購入したそうです。
奥さんと娘さんの3人家族、娘さんは中学生になります。
安部さんに目を掛けられてしまった数名の部下は、職場では「生贄」と呼ばれる存在でした。
安部さんは言い出したら聞きません。
嫌がる部下の気持ちも知らず、パワハラ法を完全に無視した威圧的な態度で「生贄」達をパーティーへと招待したのでした。
当然、優秀な部下達は分かっています。
社長はすでに安部さんを見捨てているが、年功序列のしきたりの中、安部さんをクビにはできずに困っていることを…。
さらには新しく有能な中途採用によって時代の波に乗ろうとしている社長…。
部下達は安部さんのパワハラを穏便にやり過ごし、逆らわないほうが身のためだと言い聞かせ業務に耐えています。
引っ越しパーティーの件も誰一人として、心から喜ぶ人はいませんでした。
それどころか、年功序列を信じて長年耐えてきた部下達は「中途採用のスペシャリストに一体どれほどの給料が支給されるのか!?」社長と安部さんの狭間で気持ちが揺れ動きます。
こんな会社辞めてやる!
中にはそう言い出して会社を去る人もいます。
いつしか、安部さんが建てた立派な一軒家は「ソリティア御殿」と揶揄されて、中途半端な年功序列が生み出した闇のシンボルとなりました。
毎日ソリティアだけしかしない年功序列の頂点に君臨し続ける闇の存在「安部さん」は、社長との大親友エピソードだけで定年まで勤めあげる気です。
毎日ソリティアしかしていない無能な人材ですから、クビになれば当然厳しい状況になることは目に見えています。
石にかじりついてでも会社に残ろうとするに違いありません。
果たして、安部さんはそのままの地位に君臨することができるのか、それとも中途採用のスペシャリストにその席を奪いとられるのか…
中途半端に年功序列を続けてきた企業にありがちな負の財産はあなたの身近にも迫っています。
中途半端を見極める眼力を養う
終身雇用制度が崩壊した現代の日本では、もはや年功序列型での成功は難しいと言えます。
成果主義型のスタイルと年功序列(年相応)をうまくミックスさせたバランスのよい人事評価制度が必要でしょう。
中途半端な年功序列が会社の財産を蝕んでいるときの兆候があります。
それは、部長、課長、主任などの役職(肩書き)のついた人がたくさん存在する場合です。
役職者がたくさん存在する企業の場合、職務遂行の役割分担のバランスが崩れているといえます。
このような企業では「部長と課長で仕事の内容の区別がつかない」ことも多く、中には「業務能力のない部長(あるいは課長)が存在する」ケースが多いのです。
名ばかりの肩書きですね。
その背景には、社長と友人関係にある人物や、入社当初から在席している人物など「闇の存在」に気がつくことができるかもしれません。
あなたにも闇のシンボル「ソリティア御殿」が見えてくるかもしれません。
是非、自分の眼力を鍛えてみてください。
私は年功序列の中に隠れた闇を見てきて「自分が成長する努力を止めてはいけない」と強く感じています。
安部さんはいつしか自分が成長することを止めて、ソリティアだけをするようになりました。
きっと若かった頃は社長と一緒に活躍していたのだと思います。
年功序列の危険な落とし穴に嵌ってしまうと抜け出せなくなってしまうのかもしれません。
あなたは安部さんとは違います。一生懸命に仕事を頑張っています。
もっと楽しく、もっと輝く働き方を求めて、日々成長していきましょうね!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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