命懸けのサッカー観戦(1:飲み会)

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1:飲み会

また飲み会に誘われてしまった。

俺は飲みの誘いは断らない主義だから、呼ばれりゃ行くけどよ。

「加藤さん、今日は〝朝までコース〟っすよね?」

「バカ言うな。俺は土曜日は忙しいんだよ。」

「金曜の夜だってのに付き合い悪いっすねー」

「飲みは行くけど、朝までは勘弁だな」

同僚の高村はいつも俺を煽ってくる。俺は本当に土曜日は忙しいんだ。

土曜日は大事なサッカーの試合があるからよ。朝までは付き合えねーんだ。必ず適当な理由をつけて帰らなくちゃならねー。

俺は年間パスポートを持っていて週に何度もスタジアムに行く。サッカーの応援は飲み会よりも大事だ。

必ず行く。

俺は何がなんでも明日はサッカーの試合を見に行くし、二日酔いにもなりたくないんだ。

明日の試合は今シーズンで最も重要なんだ。

だってここで勝てなきゃJ2に降格なんだからよ。

俺は生まれてからずっと横浜で育ってきたし、もう30年以上ずっと横浜しか応援していない。

今まで一度もJ2なんて経験のない横浜が、降格の危機だっていうんだから、情けなくなってくる。

絶対に勝ってもらわなきゃ困るんだ。

「高村、悪いな、俺は今日はここら辺でお先に失礼するよ」

三杯しか飲んでないけど、しょうがねぇ。五千円置いていってやるか。これなら高村も文句ないだろ。

「加藤さん、ちょ、多いっすよ、五千円は」

「ああ、いいよ、いいよ。それじゃお疲れさん」

それにしても外はやけに寒いな。大寒波がきているとか。雪でも降りだしそうなほど寒い。

職場の近くで飲むのはいいんだが、帰りの電車が面倒くさい。

高村はめちゃくちゃな飲み方をする奴だが、俺が電車に乗ったほどのタイミングで「多かった分は次回にお返ししますね。今日はありがとうございます。お疲れ様でした」なんて、メールをよこしてくる。

俺はいつもメールは返さねーんだ。家まで一時間以上はあるから返信する時間はあるんだけどよ。そういう面倒な連絡は、好きな奴同士がやってればいいのさ。

とにかく家まで遠くて嫌になる。

まぁ、そんな不便な場所に家を買っちまったんだから仕方がない。

著者コメント

2026年4月連載開始、全12章あります。

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是非、楽しんでいってもらえたらと思います。

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